大学進学で家を出た子どもたちが、かつて使っていた部屋。
どちらも引っ越しの時に片付けていってもらいました。
今日は、その片付け話を電話でしていた時の、実家の母のことばの記録。
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全部置きっぱなし!
わたしは18歳の時、大学進学のために上京し、学生寮に入居しました。
卒業後に郷里に戻るなんて一度も考えたことがなく、母から帰ってくるように言われたことも一度もなく、そのまま今に至ります。
わたしががんを発症する直前だった20年ほど前、母は実家から少し離れた場所にあたらしく家を建て、かつて実家だった家を壊して更地に戻すことにしました。
当時築30年ほどだった実家の家屋の中は、わたしや兄弟たちの部屋すべてがそのまま。
わたしはその当時2歳目前でちょろちょろ動き回る息子と、お腹の中には娘がいる状態で、引っ越しの手伝いらしいことがほとんどできず、母に「ほかは全部自分がヒマをみてぽつぽつ片付けるから、あなたが取っておきたいと思うものだけ選別して引き上げておいて」と言われていました。
かつてのわたしの部屋には、学習デスクとその中の文具類、本棚とその中の本や雑誌、ベッド、クローゼットの中の服まで、全部全部残ってる。
家を出て10年以上。
使いかけの鉛筆や、買い集めたはいいもののかわいすぎて使えなかった文具類、子どもの頃宝物のように思っていた雑貨類に心を動かされることはほとんどなく、ちいさなお菓子の箱に収まるぐらいのほんのちょっとの思い出の品だけ持ち出してきました。
「たのしかったの、私が」
昨年の春に娘が家を出た後、実家の母との電話でこの時の話になりました。
わたしは、
息子も娘も、ふたりともとりあえず部屋をきれいにちゃんと片づけていってくれて、助かった。
それを考えると、自分は18で家を出てからもずっと部屋をほったらかしで。全部ぎっしり置いたままで。
結局自分で片付けることもなく、全部お母さんにやってもらって。
本当にダメな娘で申し訳ないです。ごめんね。
と詫びました。
そして、返ってきた母のことばにガツン!と頭をなぐられた感じがしました。
「えー!部屋もモノも、私が残しておきたかったんだよ!
子どもたちみんな家を出てたけど、部屋があるからそこにいるような気がしてたっていうか。
片付けるときもね、それぞれの部屋から出てくるものを見ては、あー、この時こんなことがあったなあ、これはあの時のものだ!って思い出したりで。
たのしかった!」
今でもこの時の母のこのことばを思い出すと、涙がでてきてしまう…。
母には母のいろんな思いがあった。
わたしはその思いをなにひとつちゃんと感じ取らない、感じ取れないままずっと来た。
親の心、子知らずです。
ひとそれぞれ
わたし自身は、子どもたちに身軽な気持ちでいてほしくて、子供部屋を片付けた。
母は、自分の手を離れていく子どもたちの記憶のよすがとして、子供部屋を残していた。
子を思う気持ちはひとそれぞれ、その表し方も表れ方もひとそれぞれ。
なにが正解、なんてないんだな、きっと。
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