長崎3泊4日ひとり旅。
今日は3日目、念願の軍艦島へ上陸&見学し、出島跡を訪れ、稲佐山の展望台から長崎の美しい夜景を見た日の記録。
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3日目:長崎のいろんな顔をいろんな角度から見る日
09:10 「軍艦島上陸クルーズ」スタート
長崎への旅を決めた時から現地の天気予報とにらめっこしつづけ、滞在期間の中でいちばん天気が良く風も穏やかそうな日に予約を入れていた、「軍艦島上陸クルーズ(高島海上交通)」。
今回の長崎旅でいちばん楽しみにしていたといっても過言ではない…!
軍艦島のツアーはいくつかあるけれど、
- 船内席でもオープンエアのデッキ席でも自由に座れる(軍艦島の海上の姿を、船内からの窓越しではなく、デッキから実際に自分の目で見たかった)
- 軍艦島のとなりにある高島への上陸、軍艦島の立体模型を使っての説明や石炭資料館の見学がツアーに組み込まれている
- 価格設定がシンプルで、手ごろ
ということで、高島海上交通の「軍艦島上陸クルーズ」を選択。
8時45分にはクルーズ事務所で受付を済ませ、時間通りにクルーズスタート!
クルーズ船ブラックダイヤモンド号が、30名ほどの乗客を乗せて長崎港をどんどん進んでいく。
護衛艦、のしろが目の前に!
コンパクトでシンプルな最新鋭艦、かっこいい…。
戦艦武蔵がうまれた船台、「第二ドック(BERTH No.2)」!
このあたりで、前日まで対岸から見ていたジャイアントカンチレバークレーンも近くで見ることができ、興奮がとまらん…。
そして、次は呉かなー(戦艦大和の生まれ故郷)という思いも湧いてくる…。
100万トンドック!超デカい!長さ1,000メートル!
最近、三菱重工から他の造船所へ売却譲渡されたので、クレーンの真ん中にあったスリーダイヤがそれぞれ全部塗りつぶされているのが見える。
船内ではガイドさんの音声アナウンスが流れ、建造物についてだけでなく、次々と見えてくる小島やその突端に立つマリア像、キリシタンの歴史、かつては軍艦島と同じように採炭できたけれど地盤沈下で沈んでしまい現在は波間に頭を出すだけの2つの岩礁になってしまった島など、面白い話がいっぱい聞ける。
女神大橋をくぐる。
この女神大橋は横浜のベイブリッジと同じつくりなのだそうで、これに限らず長崎と横浜ってやっぱり何か相通ずるところが多いなあという感じがした。
歴史的な位置づけからして、自然なことなんだろうな。
軍艦島へ行く前に高島に上陸し、軍艦島の立体模型図を見ながらガイドさんの説明を聞く。
これがとってもわかりやすい。
やっぱり人間の頭は、3Dデータ画像とかじゃなくて実際の目の前の立体物を目にすることで情報を整理し理解しやすいようになっているのだと思う。
石炭資料館の展示もそう。
こんなの、人形を立たせてドリル持たせたある意味めちゃくちゃアナログな展示だけど、前日に軍艦島デジタルミュージアムで見たVR的映像よりずっとガツンとくるのよ。
さて、高島を出て、いよいよ軍艦島へ。
(ネコさんたち、そこがいいの???ほかに木陰とかいくらでもあったけど。かわいい。)
高島を出てすぐ、かつて軍艦島で亡くなった人たちを火葬する場所だったという中ノ島の向こうに、軍艦島が姿をあらわした。
現在、軍艦島には条例で事細かに厳しく規制が敷かれていて、定められた上陸時間までは波止場に係留することができないそうで、島の周りをぐるっと周遊しつつ時間調整。
条例で細かく決められた上陸時間までの時間調整も兼ね、島のまわりを周遊。
— ヌー : すっきり、さっぱり。 (@like_a_rhino) May 19, 2022
船着場と逆になる北側からのこの景色は、ガイドさん曰く「いちばん軍艦らしく見え、しかも当時ここに住んでいた島民は絶対に見ることがなかった方角からの見え方」とのこと。
なるほど。#長崎#ひとり旅#軍艦島 pic.twitter.com/O9PlzuY0g8
ほんとに軍艦にしか見えない…。
時間になり、いよいよ軍艦島へ近づいていく。
ほんとにびっくりするぐらい「軍艦」なフォルム。
— ヌー : しばし低浮上 (@like_a_rhino) May 19, 2022
島のまわりをぐるっとまわりつつ、南側の船着場へ向かうところ。#長崎#ひとり旅#軍艦島 pic.twitter.com/FvwsBj9Gbg
近づいても近づいても、軍艦にしか見えない…。
接岸!
海がきれいでびっくりした。熱帯魚も見られるらしい。
見学ルートを一番奥まできたところで、ガイドさんの説明が。
ガイドさんからは接岸前に、「限られた上陸時間なのでお願いがあります。ぜひ、最初はカメラやスマホで写真を撮るのではなく、じっくり目で見てください。説明が終わったら残りの時間は同じ道を船に戻りながら自由に写真を撮れます。限られた見学コース、写真はどう撮ってもおそらく同じようなものしか撮れません。カメラを通してだけではもったいないです。」と言われていて、実際に上陸してみてその通りだと思った。
ほんとに、たぶん「軍艦島」「上陸」「ツアー」でググって出てくる写真なんて、みんなこれと大差ないものしか写ってないはず。
それぐらいのものが見える範囲しか「見学ルート」にはなっていないから。
日本最古の鉄筋コンクリート造アパートである「30号棟」が、波風による風化ですでに余命が尽きているとか。
ここに住んでいた子どもたちが当時、親に一番怒られたのは釣りだった(生活排水がすべてそのまま海へ流されていて海水の汚染がすさまじかったため)とか。
ここを南側から襲う形になる毎年の台風が、どれほど強い波風をうちつけ建造物を風化させているかとか。
島の北側に見える建物に1か所巨大な穴が空いているのは、そこにベルトコンベアーを通し、採炭で出る廃棄物を24時間365日そのベルトコンベアーを稼働させて海に捨てていた名残(なんというすさまじい騒音の中でのくらしだったことか…)だとか。
4枚目の写真にある建物の15段の階段は地下の炭鉱への出入り口で、当時働いていた人たちが毎日どれほどの緊張でここを下りていき、どれほどの安堵感でここへ戻ってきて家路についたかとか。
そうやって5,000人もの人がここで生活しながら日本の経済成長を支えてきて、でもある日突然廃業離島を余儀なくされて、そうして島は無人になって、激しい波風にさらされながらどんどん風化していってて、その一方で最初はただの大きな岩礁に過ぎなかったこの場所が「島」になっていたことでいつのまにか地を這うように緑が広がって花が咲いて、人が暮らさなくなったことで海は碧く透き通って熱帯魚が泳ぐようになって…。
2015年に世界文化遺産に認定されて、じゃあここをこの先どう「維持」「保存」していくのか?
そもそも何をもって「保存」とするのか?
当時の島をぴかぴかに再現するのか?
でもそれって、「保存」していることになるのだろうか…?
長崎に来てから、軍艦島に限らず、常にこのことが頭から離れない。
記憶を継ぎ、歴史を伝えるって、どうするのがいいんだろうね…。
ほんとにわからないんだよ。
離岸!さよなら軍艦島。
いつか行ってみたい…と念願だった、軍艦島。
「おもしろかった!」んだけど…
「おもしろかった!」だけじゃないんだよなあ…。
なんだかいろいろ考えさせられた、すごく。
12:30 敬天で牛かつランチ
港を離れ、長崎に来てまだ訪れていなかった出島を見ようと歩いてきて、お腹が空いていることに気づく。
出島に入る前になにか食べようと近隣検索で出てきたのが、出島前の大通り沿いにある敬天だった。
やわらかくてうまみたっぷりの牛かつ。
最後のひときれふたきれを挟んでかつサンドにするためのトーストまで付いてて、最&高だった。
13:30 出島へ
敬天を出て大通りを渡り、出島へ。
2017年に掛けられた出島表門橋は、向こう側の出島の敷地が国指定史跡で土地を削って橋の支柱を設置することができないため、手前側の岸にひとつ支点をつくってこちら側の端部を下にひっぱり、てこの原理で向こうの出島側を浮かせているんだって。
でっかいやじろべえだ、おもしろい。
この出島、鎖国当時はこちら側の陸と橋一本(しかももっとずっと小さな橋だったらしい)だけでつながった小さな人工島だったけれど、いまは周りがすっかり埋め立てられてただの川岸の一角になってる。
それでも、地図を見ると当時の出島のかたちがなんとなく感じられるから、人間の営みっておもしろいよね。
中に入ったら、ちょうど13時半からの無料ガイドツアーが始まるところだった。
…なんというか出島って結局、ここが唯一の外国への扉だった鎖国時代の建物が残っているわけではなく、今ある建物は復元で、そもそも出島の周囲も大方ぐるりと埋め立てられて往時の姿はパッと見える表層ではほとんど残っていないわけで。
それを「出島-Dejima-」として再構築していこうという途中経過がいまの出島なわけで、なのでどうしても「テーマパーク感」「コスプレ感」がすごいのよね。
だからわたしはここでもやっぱり
記憶を継ぎ、歴史を伝えるって、どうするのがいいんだろうね…
という思いが湧いてくる。
でも、いまの出島がこの在り方なのはある意味どうしようもない、仕方ないことでもあるんだよね。
だって、一回消えたものを再度あらたに作ってるんだもん。
なので、個人的に面白かったのは、この出島の復元・整備事業の説明展示。
国指定史跡を傷つけないよう、発掘で出てきた当時の土台から浮かせて建物を再現してるとか、
当時のオランダ商館長ブロムホフが作らせたという縮尺30分の1、建物内の壁紙なども現物を貼った詳細な出島模型(!)が発見され、それをもとに長崎の同時代の建物の建築様式や各種資料を詳細につき合わせて復元整備しているとか、
そのための建築資材や工法もすべて極力当時のもので復元整備しているとか、
「複製」ではなく「復元」を徹底しようとしてるのがよーくわかる。
もともとこの出島の復元整備がはじまったのが50年前、という長期事業。
しかもさらにこれから先の30年で、今は埋め立てられて地続きになり路面電車が走っている南側の土地で路面電車の路線を移動してあらたに堀を切り、鎖国当時の姿のように出島をぐるりと水辺で囲みなおすところまで計画しているのだそう…すごい…(絶句)。
出島、たしかにいま目の前に見えているものはテーマパークっぽいんだけど、その下層には膨大な発掘や歴史的考証、建築技術の保全や人知の集積がきちんと、しっかりあるんだよね。
記憶を継ぎ、歴史を伝えるうえでの、ひとつのやり方ではあると思った。
今後もどんどん変わっていきそうな、古くて新しい場所。
17:00 長崎県庁展望台へ
出島を出て、港近くにある長崎県庁へ。
ここの8階が展望台になっていて、景色がとてもいいとのことなので。
天井が高く、大きな窓の明るい空間にナチュラルでおしゃれな家具が並んでいる。
外のテラスに出ると長崎の海・山・まちをぐるりと見渡せて、気持ちがいい。
景色がよくて、人がほとんどいなくて静かで、持ち込みで飲食もOKで、無料Wi-Fiも使えて、すごくいい場所。
1時間ちょっとのんびりしつつ、このあと稲佐山に登る長崎ロープウェイの無料循環バスをネット予約した。
さて、長崎駅に行ってバスに乗ろ。
19:17 長崎ロープウェイ無料循環バス&ロープウェイで稲佐山へ
長崎駅前は現在、西九州新幹線延伸に伴う再開発で大工事中。
長崎ロープウェイ無料循環バスの長崎駅バス停も、場所がちょっとわかりにくくて焦ったー!
あちこちのホテルをまわりつつ長崎駅にやってきたバスに乗り込み、長崎ロープウェイの乗り場となる淵神社駅へ到着。
自力で行くとしたら路面電車で宝町まで行き、そこから淵神社駅まで徒歩(しかも上り坂)と地味にめんどくさいので、無料循環バスはラクでよかった。
ロープウェイの往復チケットを購入し、乗車!
あっという間に山頂。
オレンジ、ピンク、紫からブルーへ、美しいグラデーションの夕景にも間に合った!
無料循環バスは、第1便から約30分おきに第4便まで運行。
この日の長崎の日没が19:23だったので、19:25に淵神社駅に着く第1便無料循環バスに乗り、そこからロープウェイで山頂へ行けば、日没後のマジックアワーの空と長崎の夜景をギリギリ両方楽しむことができるんじゃないか?という見込みが、とりあえず当たった。
展望台へ上がって、長崎の夜景。
実物はもーっとキラキラ光ってすごくきれいだった。
あー、やっと夜景をみられたよ。
東山手甲十二番館、グラバー園、眼鏡橋につづき、この夜景の中にもハートを発見(わかるかな?)。
長崎の街は丘に囲まれてぎゅっと詰まっているので、キラキラいっぱいの宝石箱をのぞいてみているような夜景だった。
第1便の無料循環バスに乗ってきた乗客は、復路も第1便で固定されるシステム。
20:30淵神社駅発の復路第1便に乗車するため、20:15山頂発のロープウェイで下山。
山頂にいられたのは実質30分ほどとあわただしかったけれど、夜景を見るぐらいなら十分かな。
たのしめた。
※以下、ひとりごと。
長崎ロープウェイの無料循環バス、”世知に長けた方”などは往路と復路で別々の便にこっそり重複予約し、山頂での滞在時間を長めに取ったりするケースもあるらしい…。
実際、わたしが乗った時の第1便の往路は19人いたけど、復路は11人しかいなかった。
8人は本来指定されていた復路便に乗らなかったということ。
山頂でゆっくりしたい気持ちはわかるけど、重複予約はある意味ズルだし、満員を想定した場合、理論的には本来乗れたはずの人の分の予約枠をムダに消費することにもなる。
今回の場合はコロナ禍だったり平日だったりで時期的に当然満員にはならないだろうという想定あっての行動なんだろうけど、そこまでしてでも”イイ思い”をしたい人が半数近くいたことに、なんだかなーという気持ちもあった。
21:00 かもめ横丁で夕食、宿で就寝
無料循環バスのおかげで長崎駅まで一気に戻ってこられたので、駅構内のかもめ横丁で夕食。
たたんばぁで日本酒を注文し、まわりのお店で食べたいものを買ってきて、カウンターで立ち飲み。
気楽でいい!
ひとりで飲んでいたら、アクリルパーテーションの向こう隣りで飲んでいた女性が声を掛けてきてくれた。
ここ、1,000円もあれば飲んで食べて気持ちよく楽しめるので、毎日のように来ているのだそう。
「長崎でどこ行った?」と聞かれ、「3泊4日なので、長崎市内は旅行としては結構あちこち見られたと思いますよ、あそことあそことあそことあそこと~…」と答え始めたら、
「長崎はね、そうは言っても掘ったらいくらでも出てくるから~!!!」
と笑ってる。
うん、わかる。
長崎は、時間と空間が交わって混ざって何層にも何層にも積み重ねられて、できている。
いまパッと見て目に入ってくるようなところもそうでないところも、掘ろうと思えばいくらでも掘れるし、掘れば掘るほどいろんなものが湧き出てくる。
長崎の魅力は、そういう豊かで混沌とした重層性にあるんだと思う。
坂本龍馬の会を運営をしているというパワフルな彼女の楽しい話を聞きつつ気持ちよく飲んで、最後は握手でおわかれ。
いい時間だったー。
新幹線かもめの延伸を心待ちにしているピカピカの長崎駅を後にして、宿に戻って就寝。
おやすみなさい。
長崎3泊4日ひとり旅 3日目まとめ
楽しみにしていた軍艦島は、ガイドさんが「こんなに波が穏やかな日はそうそう経験ありません」と言うほど良い日に行くことができた。
晴れて天気がよくても、風が強く波が高ければ軍艦島への上陸はできず、島周辺の周回でツアーを終えて長崎港へ戻ってくることもしばしばとのこと。
知床の観光船の沈没事故のようなことも現実には起こっているわけで、安全に&無事に行って来られたことからしてありがたかった。
最終日4日目へ続く。
▼旅にはコンパクトな財布がいい。長崎はかなりキャッシュレス対応が進んでいたけれど、旅ではまだまだ現金が必要な場面が多いです。
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