このブログ『すっきり、さっぱり。』を書きはじめたのが、2016年の秋。
そこから1年半ほど経った2018年の春から夏にかけて、数人の気の置けない仲間たちで「ブログの勉強会」と称して集まっては(ブログの勉強などほとんどせず)あーでもないこーでもないと飲み食いしながら世間話に花をさかせていた時期がありました。
その時の仲間のひとり、「たんたん」こと深井竜次さんが、なんとこのたび(株)KADOKAWAさんより著作『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』を出版!
ありがたいことに当時のよしみで献本をいただきましたので、拝読&レビューです。
「たんたん」こと深井竜次さんとは?
「たんたん」こと深井竜次さんは、ひとことで言うとこんな方。
僕は、島根県にある介護施設で現役介護士として働いている26歳です。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』2p
正社員ではなく派遣社員を選択し月8日のみ勤務、そのかたわら副業でブログを始め、月収15万円から月収100万円へ収入アップすることに成功しました。
これ、ここだけさらっと読むと「うわ!またこの手の “自称稼いでます” 的な…??? (敬遠) 」となりそうなところですが。
いや、マジです。知ってる。
ほんとうにコレなのです。知ってる。
さらに、これが「ラッキーパンチ」とか「まぐれ」ではなくて、たんたんがものすごく戦略的かつ合理的に思考を重ね、さらに心の底から楽しみながらこつこつこつこつこつこつこつこつ地道に努力を積み重ねてきた結果だってことも知ってる。
26歳だよ?いや当時は24歳とかだよ?ほんと頭が下がるって、いつも思ってました。
すごい。
「幸せな働き方」を、自分で選ぶ
この本は、月収15万円から月収100万円にする稼ぎ方を書いているわけではありません。
あるひとりの若い介護士さんが、低賃金ややりがい搾取、介護システムのひずみだらけの構造から一歩抜け出して、「幸せな働き方」を自分自身で選び取っていくまでの合理的な思考のみちすじを見せてくれる本です。
「幸せな働き方」のためにやったこと
その「幸せな働き方」のために、たんたんがやったこと。
- 固定費を下げる=「稼がなくてはいけない金額」を下げる
- 本業である介護士の仕事を、効率よく稼げる労働形態に変える(正社員から派遣、かつ時給のよい夜間専従へ)
- 最低限の金額を本業である介護士業務で稼ぎつつ、労働形態を変えたことで新たにうまれた時間を、自分が楽しんでつづけられる副業(介護士ブログ運営)に充てる
現状の福祉業界は各職員のボランティア精神で成り立っているといっても過言ではありません。サービス残業はお金をもらわずに労働しているのでボランティアと一緒です。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』48p
派遣で残業がないことによって生まれる時間は膨大なものです。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』49p
副業にコミットしたいなら、派遣で労働時間を調整し、残業をせずに定時で帰り、確保した時間で作業をすることをおすすめします。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』50p
さらに生活費を抑えて1カ月の生活費を落とせば、労働日数を少なくしても生活でき、週4日勤務も可能。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』50p
僕は上京する1年前にブログを始めて、3カ月で月2万円の収入を得ることができました。この2万円は福祉職の管理職でもらえる手当てと同じぐらいです。リーダー手当や主任手当よりも多いです。そう思うと、副業の月数万円はかなり大きい。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』53p
実に合理的。
自分のおかれた状況をとことん分析してしっかり考え抜き、ひとつひとつ選び取って着実に実践していった、そのことがすごい。
「幸せな働き方」で生み出したお金について
そしてこの本の第4章「お金の不安がなくなる貯め方と使い方」には、そうして作った「お金」に対するたんたんの考え方がまとめられています。
「どうしてお金を作りたいのか?」
昭和的な考えかもしれませんが、お金を稼ぐことで「大切な人を守りたい」と思っています。僕が今大事にしているのは、家族と友だちと同棲している彼女です。その人たちに何かあっても守れるようにお金を稼ぎたい。自分がお金を稼ぐことによって周りが幸せになれたら、それに越したことはありません。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』142p
シンプルで力強い…!
そして、「お金を使うこと」に関して。
僕の節約の記事がYahoo!ニュースに掲載されたとき、堀江貴文さんがNewsPicksで「そんなに金溜め込んでどーするんだろうね」とコメントをしてくださいました。確かにその通りだと思い、それからはお金を使っていろいろな人に会いに東京に行く機会が増えました。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』159p
このピュアさと柔軟さよ…!
この部分、実は自分の子どもの方に断然年齢が近いほど若いたんたんに対して、以前ほんの少ーしだけ老婆心で心配していたことだったのです。
当時、お金を使うということに対してかなり強めの抵抗がある感じを受けていたので…。
個人的に若いうちの経験はお金そのものよりも断然価値が高いと思っていることもあり、お金を使っていろんな経験をするということに対してたんたん自身が肚落ちする時が来たら、鬼に金棒だなと思ってみていました。
で、案の定ご自分でもれなく体得していかれたのですよ。感服です。
自分にとっての「ハッピーな人生」とは?
「幸せな働き方」をしたいのは、「ハッピーな人生」を手に入れたいから。
では、そうして目指す「ハッピーな人生」って、具体的にはどういうものなのか?
たんたんはこう書いています。
「ストレスを少なくして生きる」というのは、僕の人生における最重要課題です。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』141p
ストレスの少ない人生が、ハッピーな人生。
わたしもこのタイプなので、すごく共感…。
ただ、これは人の数だけそれぞれいろんな考え方があって当たり前で、大切なのは「自分がどういう生き方をハッピーと感じる人間なのかを、自分自身がわかっていること」ではないかと思います。
それがわからないまま、ただただ日々を追われるように過ごしていくのはとても苦しい。
でも案外これをわかっていない、別にわかろうともしていないひとって多い印象です。
自分がどうありたいかを意識し、それを実現する手段を自分自身でひとつひとつ選び取って実行していく。
たんたんはそれをやりぬいたからこそ、「幸せな働き方」をしながら「ハッピーな人生」を送るいまがあるのだなと。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』 はこんな人におすすめ
たんたんはこの本の中で、自分はミニマリストであると書いています。
ミニマリストであることのメリットは、「選択が減ること」「集中力が増すこと」です。必要ないモノを捨てることで、やるべきことが明確になり集中して取り組めます。僕が介護派遣をして労働日数を減らしたのも、ブログに集中するために「労働を捨てる」という作業をしたからです。
『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』182p
「ミニマリスト」というワードは、どうも単に「持ち物の少ない人」みたいに捉えられている節がありますが。
わたしは数の多い少ない合戦!みたいなのは(これに限らず)割とどうでもよくて、自分自身ががめざす状態を自分自身で実現していくために最適で合理的な取捨選択をできるひとが「ミニマリスト」だと思っています。
その意味で、たんたんの今回の著作『月収15万円だった現役介護士の僕が月収100万円になった幸せな働き方』は、いまの社会の中でひとりひとりがハッピーに生きて行くことを考える上でとても現実的で合理的なミニマリスト本。
- 介護業界で消耗している人
- 介護業界ではないが、現在の働き方生き方に不安を感じている人
- 副業に一歩を踏み出したいと思っている人
そして
- 現実社会の中で、自分なりにミニマムにシンプルにラクに生きて行きたいと思っている人
に新たな視点を与え、ちょっと背中を押してくれる本だと思います。
ぜひお手に取ってみてください。